第183章

明るい陽光が部屋へ差し込み、少女の寝室はあたたかく甘い空気に満ちていた。ベッド脇のサイドテーブルには、ついさっき運ばれてきた花瓶。そこへ色味の控えめな可憐な野花が挿されている。瓶の水には、花の瑞々しさを長持ちさせる魔薬が数滴――さらりと落とされていた。

部屋の主は窓辺の椅子に腰かけ、花束をひとつ抱えている。視線の先は、黄と白が重なる雛菊の花弁。

超記憶。魔脳じみた演算能力。普段なら常に超高速で回り続けているはずの頭が、いまだけは珍しく沈黙していた。

アリシアは、ぼんやりしていた。

花籠に残った花を飾っていた侍女ルナが、そっと主人を盗み見る。心配そうに眉を寄せ、迷いののち、意を決して近...

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